メルセデス・ベンツGクラス【海外試乗記】
伝説は続く 2023.11.16 アウトビルトジャパン メルセデス・ベンツはクラシックな「Gクラス」を見捨てたのか? そんなことはない! 2024年夏に登場するフェイスリフトモデルのプロトタイプをテストした。※この記事は「AUTO BILD JAPAN Web」より転載したものです。
さらに進化するGクラス
恐ろしくなるほどの怒号。それがカラフルなカムフラージュフィルムに覆われたGクラスから発せられるという事実は、むしろ安心感を与えてくれる。少なくとも、グラーツの永遠の広場のファンにとっては……。
「EQG」と「ベビーG」の発表に続いてGクラスの早すぎる最期のお告げがあるのではないか? しかし、それらの心配はすべてこのごう音で解消される。なぜなら、この大音量のプロトタイプは、メルセデスが決して古典的なGクラスを切り捨てるわけではなく、逆に、40年以上にわたって製造され、現在までに100万台以上製造されている古典的なGクラスをさらに発展させたことを証明しているからだ。
顔だけが少し柔らかくなる
だからこそ、われわれはじっくりと観察する。プロトタイプのカムフラージュの下でさえ、Gクラスはその多くの荒削りなエッジのいくつかを失い、その結果、電気自動車用の効率化が採用されていることが目立つ。もちろん、そのエッジには8気筒エンジンの典型的なサウンドも含まれている。
そう、「G500」では、V8は間もなくマイルドハイブリッド化された直列6気筒に道を譲らなければならないのだ。
メルセデスAMGの「63シリーズ」がどんどん4気筒や6気筒のプラグインハイブリッドに置き換えられている一方で、「G63」は依然として4リッターV8であり、その任務のために最適化さえされている。585PSと850N・mというパワーに大きな不足があったわけではない。しかし現在では、48Vのジェネレーターを組み合わせて、この巨大なエンジンがスロットルでよりハングアップすることを保証している。
エンジンを改良すれば、もう少しパワーを引き出すことができるだろう。みんな、45PSプラスでどうだ? 63つながりで630PSにするというのはいいアイデアだろう。ついでにトルクも4桁になるはずだ。
G63は燃えるようなAMGサウンドを放つ
しかし、パワートレインの変更は、メルセデスが当面の間、G63のアクスルだけに施そうとしていることに比べれば、ほんの小さなものにすぎない。5年前にフロントのリジッドアクスルを取り払い、アジャスタブルダンパーを備えた独立懸架式サスペンションに交換したメルセデスは、次のステップに進んでいる。スタビライザーの代わりにセントラル油圧システムが採用され、2つの独立したバルブで伸び側と縮み側をホイールごとに制御できる。
ステアリングと全輪駆動制御、スタビリティーコントロール、ドライビングダイナミクスコントロールがこれまで以上に連動しているため、集中制御のエレクトロニクスがコンマ何秒という単位でそれぞれの状況に合わせてシステムを調整する。つまり、トラクションを最適化できるだけでなく、ボディーロールもほぼ正確に調整できる。このシステムにより、さらなる快適な乗り心地を提供するというわけだ。
オフロード性能はフェイスリフトモデルでも健在
もちろん、舗装路での寛容さと平静さをもう少し高めても、G63に支障はない。だから、石畳の上を走るのに気が引けるなんてことはない。少なくとも「コンフォート」モードでは。その逆に、「スポーツプラス」モードで、遠心力に果敢に抵抗しながらカーブを直立姿勢で駆け抜けていくのが快感になる。突然、ハイシートに座っているような感覚がなくなり、路面との距離が異常に近くなり、クルマとアスファルトとの結びつきがますます強くなる。
大通りからモーグルトラックに場所を移すと、その体験はまったく新しいものになる。というのも、これまではラダーフレームにリジッドアクスルのサスペンションシステムがGのコーナリングをつかさどっていたが、キネティックサスペンションはここでも役立っている。トーションバーがなくなったため、各ホイールの接地力とトラクションを個別に制御・調整・最適化できる、と開発者は説明する。
それを証明するために、メルセデスAMGの開発ドライバーは、助手席に座る私の頭がクラクラするほどのフルスロットルで露天掘り鉱山のラフロードを走らせた。そう、垂直方向の加振はゼロに近く、ホイールローダーによって削られた軌道上のGは、まるでアスファルトを敷き詰めたばかりのところを走っているかのようだ。しかし、横方向の力は私をシートベルトに投げつける。
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Gクラスでのオフロード走行は常にユニークな体験だ
その一方で、開発ドライバーの目元には、笑いジワが刻まれている。明らかにGとのタイトなダンスを楽しんでいるのが分かる。「サンド」モードでは、ロール角とドリフト角を個別に微調整することが可能だ。
確かにG63は、電動モデルで人気のGターンのようなことはできない。Gターンは、それぞれ逆に回転する左右のモーターで戦車のようにその場で旋回し、砂煙に消えるまで走り続けることができる。ちょっとしたショーとしては悪くないが、吹き飛ぶ泥や砂利、8気筒の雄たけびにはかなわない。
滑らかになったボディーとパワーアップしつつ効率化されたエンジン、それに雰囲気や装備も少しばかり華やかで魅力的なものにアップデートされる。そして何よりも、もはや一切の妥協を許さないシャシー。一見しただけではほとんど分からないとしても、それは過去50年以上にわたってたびたびそうであったように、メルセデスは多くのアップデートを施した。社内では、フェイスリフトモデルのGをまったく新しいクルマとみなしているほどだ。「W463」は「W465」になる。
結論
そうだ、Gだ! もうすぐ50歳になるが、少しもおとなしくはない。この物語にはいくつかのメッセージが込められている。そして、新しいシャシーは印象的かもしれないが、それは最も重要なものではない。本当に重要なのは、メルセデスがまだGクラスの開発に取り組んでいるという事実であり、EQGと、ベビーGとして、その周りをはい回るおもちゃが出ようとも、伝説を完全に犠牲にはしていないという事実なのだ。
(Text=Thomas Geiger/Photos=Mercedes-Benz)
記事提供:AUTO BILD JAPAN Web(アウトビルトジャパン)
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AUTO BILD 編集部
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